築50年の平屋6戸を再生。宮代町生まれの中村3兄妹が手がけるセレクト横丁「ROCCO」

同じ形をした小さな平屋が並ぶ光景に魅力を感じて

──まずは、中村建設について教えてください

英基:創業は明治20年、私で5代目です。初代から3代目までは大工で、住み込みの大工も数人いて、主に木造住宅の仕事をしていました。父の代からは現場監督として工事管理を学び、公共工事や鉄筋コンクリート造、鉄骨造の仕事もできるようになりました。現在は、住宅や商業施設の設計・施工からリノベーションまで幅広く手掛けています。小さな会社ですが、いまも社員として大工を雇用しているので、木造は得意分野と言えるかもしれません。

本社オフィス横には木材を加工する作業場もある

──英基さんが会社を継いで、和基さん・幸絵さんは家を出られたのですね

和基:祖父や父から「兄妹で会社を経営すると揉めるから長男以外は出て行け」と言われていたので、何の迷いもなく出ていきました。私も幸絵も東京に自分の事務所を持っていて、普段は別々に働いています。

──そんな皆さんが兄妹でROCCOを始めることになった経緯を教えてください

幸絵:2020年に父が病気になり、看病のため家族で集まる機会が増えたことがきっかけのひとつです。ある日スーパーへ行く途中、同じ形をした小さな空き家が6軒並んでいる光景を見かけて「コピー&ペーストしたみたいでかわいい」と思い、兄たちに「あの場所で何かできたらいいね」と話しました。次兄も気になっていたようで、食事をしながら「あのあたりには夜営業しているお店が少ないから、気軽にお酒が飲めるお店ができたらいいよね」と盛り上がりました。

リノベーション前の様子。33.12㎡、10坪の平屋の住宅が並ぶ。長らく空き家になっていて、外観も内装もボロボロだったという(写真提供/中村建設)

英基:私は「あのボロボロの物件を?」と最初は全然ピンと来なかったんですが、所有者を調べてみたところ、実は祖父が50年前に建てた物件だと判明したんです。「これもご縁だ」と思い、所有者に相談して買い取ることにしました。

和基:僕たちは酒の席での冗談というか、「こうなったらいいよね」と半分夢を語るようなテンションだったのに、兄は行動が早くてすぐに話をまとめてしまって(笑)。「それぞれ本業もあるのにどうするんだ」と驚きましたが、買ってしまったらもうやるしかないと腹をくくりました。

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