宮代町近郊のおいしいもの、楽しいことを詰め込んだ「セレクト横丁」
──コンセプトはどのように決めていきましたか?
幸絵:お隣の杉戸町に、小商いの講座やマルシェ、インキュベーションスペースを運営している「choinaca」という団体があって、3人で相談に行ったんです。「どんな人にお店に入ってほしいかを考えるといいのでは?」とアドバイスしていただき、3人で話し合いました。
まず、熱い想いを持っている人、そして、宮代町やその近郊地域にゆかりのある人を軸に考えました。東京から素敵なお店を引っ張ってきたら話題になるだろうけど、一過性で終わってしまうかもしれない。それよりも、この地域にこだわって活動している人に入ってもらったほうが、地元の人に長く愛されるのではないかと思いました。それで、宮代町近郊のおいしいもの、楽しいことを詰め込んだ「セレクト横丁」というコンセプトにしたんです。
和基:「毎日の小さな余白に、ROCCO」というテーマも据えました。スーパーやドラッグストアのように生活必需品を売っているわけじゃないけど、ここに来ると「ちょっといいもの」に出会える。宮代町やその近郊でがんばっている人たちの商品が買える。そんな場所になったらいいよね、と。はじまりは「自分たちが飲める場所がほしい」という動機でしたが、このあたりから「地元のみなさんに喜んでもらえれば」という思いが芽生えてきました。
個性豊かな店が揃うROCCO。No.1:バリスタ世界2位の称号を持つ畠山大輝さんの初めてのリアル店舗「Bespoke Coffee Roasters」。No.2:春日部市にある老舗日本茶専門店の新業態。本格ギリシャヨーグルトを扱う「M Yogurt」。No.3:うま味の強いもち米「喜寿米」100%の揚げ餅やもちワッフル、わらび餅を販売する「宮代もち処 Jファーム」。No.4:創業90年を超える吉川市の老舗酒屋が運営する「サカヤ×ビストロ FusaFusa」。No.5:シェアキッチン。No.6:あずまや
──テナントはどうやって募集しましたか?
幸絵:choinacaさんから、コンセプトを掲げて賛同する人に集まってもらう「この指とまれ方式」がいいんじゃないかとアイデアをいただいて、ROCCOのinstagramを立ち上げ一般公募しました。choinacaさんも自分たちのネットワークで情報を広めてくれましたね。
英基:昔からおつきあいのあった春日部市の老舗日本茶専門店、おづつみ園さんには、自分たちから企画を持っていきました。おづつみ園さんが地域の方に情報を広めてくれたのも大きかったと思います。
幸絵:説明会には約20人が参加してくださいました。物販などいろいろなジャンルの方がいらっしゃいましたが、比較的、人の流れが作りやすい飲食店に統一しました。
和基:提供する予定の商品を試食させてもらったり、すでにお店を持っている方のところには3人で食べに行ったりして、最終的にいまの4店舗に決まりました。
──6戸のうち1戸をシェアキッチン、1戸をあずまやにしたのはなぜですか?
幸絵:choinacaさんに協力を仰いだこともあって、「月に数回お店を開きたい」という方々がたくさん相談にいらっしゃったんです。数時間~1日単位で借りるニーズがありそうだったし、日替わりで違うお店が登場するとお客さんも楽しいのではないかと思い、1戸はシェアキッチンにしました。
和基:それぞれの店舗は10坪と小さく、厨房機器を揃えると中で食べられる場所がなかなか取りづらいので、各店舗共通の飲食スペースとしてあずまやを作りました。1棟目の横にキッチンカースペースを用意していて、テイクアウトしたものをここで食べることもできます。また、イベントスペースとして貸し出しも行なっています。
幸絵:日々さまざまなお店が出店されますので、お客様にも楽しんでいただけるのではないかな。シェアキッチンとあずまやの2戸を使って自治会の餅つき大会が開かれたこともあります。本当にたくさん人が集まって、大人がお餅をついて子供たちがわいわい嬉しそうに食べて、いい光景でした。